- 朝つらい・・
- ぐっすり感がない・・
- 疲れやすい・・
- イライラする・・
- 1日中だるい・・
このうち2つ以上あてはまったあなたは、もしかしてセロトニン不足かもしれません。
心を安定させバランスをとるのに大切な働きをする、幸せ物質「セロトニン」を増やしてストレスに強くなりましょう!
注目すべきは、セロトニンの原料となるトリプトファン
トリプトファンとは、牛乳から発見された必須アミノ酸のひとつで、乳製品や大豆製品、ナッツ類などの様々な食物中のたんぱく質に含まれています。食物から摂取されたトリプトファンは、肝臓や腎臓で分解され、エネルギー源として利用され、トリプトファンは脳に運ばれると、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともにセロトニン[※1]を生成します。このセロトニンが不足すると、睡眠障害やうつ状態、不安感などが引き起こされます。脳内のトリプトファン濃度が高まるとセロトニンが増えるとされ、催眠剤や鎮痛剤としての効能が期待されています。
トリプトファンを多く含む食材として挙げられるのは、牛・豚・鶏のレバー、小麦胚芽、牛乳、チーズ、バナナ、大豆、アーモンド、かつお、まぐろなどです。バナナはトリプトファンとビタミンB6をどちらも含むので、効率よくセロトニンを作ることができます。これらの食材を食事に取り入れると、不眠やうつ病などの解消を促すことができます。トリプトファンは体内で合成されない必須アミノ酸であるため、毎日摂取しなければなりませんが、体が必要とする以上に摂取してしまうと、肝臓で脂肪の変化が起こり、肝硬変を招く恐れがあります。
トリプトファンの適量摂取は、精神を落ち着かせ不眠やうつ病などの解消を促してくれますが、過剰な摂取は副作用が起こる可能性があります。うつ病治療の抗うつ剤との組み合わせにより、血圧や心拍数の変化や脳血管収縮障害などが起こる場合がありますので、投薬・服薬をしている場合は、事前に医師への確認が必要です。
[※1セロトニンとは、ノルアドレナリンやドーパミンとともに、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質のひとつ。ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑えて心のバランスを整える作用のある伝達物質で、セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、うつ病などの精神疾患を発症するといわれています。]
トリプトファンの健康効果5つ
1不眠解消の効果
トリプトファンは脳に運ばれると、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともに神経伝達物質であるセロトニンをつくる原料となります。セロトニンには寝つきを良くする睡眠効果や、興奮や不快感を鎮めて精神を安定させる効果があり、不足すると睡眠障害などに陥りやすくなります。セロトニンは、脳でメラトニンに変換されます。メラトニンは体内時計の調整を行う働きがあり、睡眠サイクルを正常にしたり時差ぼけに効果があるなど睡眠と密接な関係を持っています。
2美肌効果
トリプトファンには、体内で発生した活性酸素[※2]を除去する作用があることから、美肌効果があるとされています。「若返りの薬」ともいわれるメラトニンの分泌量は年齢を重ねるほど減少するといわれており、脳内のトリプトファン濃度が高まればセロトニンが増えてメラトニンとなり老化防止に効果があると期待されています。
3鎮痛効果
アメリカのテンプル大学健康科学センターで、トリプトファンが鎮痛剤としての働きを持つことを証明する実験が行われ、あごに慢性的な痛みをもつ患者のグループにトリプトファンを投与してセロトニンの濃度を高めたところ、痛みの軽減に加え歯に痛みが加えられたときの耐性も強くなったとの報告があるそうです。
4集中力や記憶力を高める効果
トリプトファンは、ドーパミン[※3]やノルアドレナリン[※4]といった神経伝達物質をつくるために、チロシンと一緒になって働きます。ドーパミンとノルアドレナリンとは、ホルモン調節に関わり、気分を高めてやる気を生み出すホルモンです。これまでの研究では、脳や行動障害の治療に役立つことが分かっており、不眠症やうつ病治療への効果も期待されています。オハイオ州立大学医学部の研究では、、子どもたちに1週間トリプトファンを与えたところ、学習能力について良い結果が得られたという報告もあります。
5月経前症候群(PMS)を改善する効果
トリプトファンを摂取することで、鎮痛作用や精神を安定させる効果があるため、月経前のイライラや体の不調を改善できる効果があるといわれています。
その他もトリプトファンは、免疫系に働きかけ、コレステロール値や血圧を調整したり更年期障害の症状を緩和するなど多くの効果があります。
[※2活性酸素とは、普通の酸素に比べ著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過剰に発生してしまうと、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]
[※3ドーパミンとは、交感神経節後線維や副腎髄質に含まれるホルモンの一種です。運動機能やホルモン調節機能の他、快感、多幸感などに影響を与えます。ドーパミンが不足すると、手足の震えや筋固縮などのパーキンソン症状が起こりやすくなります。]
[※4ノルアドレナリンとは、神経を興奮させる神経伝達物質の一種であり、人間を含めて動物において脳内で一番多く分泌されています。ストレスを受けると放出されるため「怒りのホルモン」とも呼ばれています。]
トリプトファンと睡眠の深イイ関係
トリプトファンはセロトニンや睡眠ホルモンであるメラトニンと言った物質の材料とされ、体内でそれらの物質に合成されるため、トリプトファンが不足すると、不眠症などの睡眠障害を起こしたり、うつ病を起こしたりする可能性があります。逆にしっかり取ることができれば、メラトニンが分泌され、眠りの質が上がり、不眠の解消なども期待できるのです。
メラトニンの生成には太陽などの光が密接な関わりがあり、2500ルクス以上の光(太陽光、または人工的な強い光)を浴びると脳内で生成され、およそ14時間後に分泌されます。
メラトニンが分泌されると、体温・脈拍・血圧を下げ、眠気を誘発します。
つまり、メラトニンは『朝目覚めてから太陽光を浴び、夜になると自然と眠くなる』という人間の自然な生活サイクルを作っているのです。この自然な生活サイクルが崩れ(夜更かしなど)、セロトニンが不足すると、メラトニンがうまく生成できなくなり、不眠症などを引き起こす原因となります。セロトニンとメラトニンはぐっすり眠るために必要ですので、その材料となるトリプトファンを摂取する事は非常に大切です。
サプリと食事で効率よく摂取
トリプトファンの1日摂取量は体重1kgにつき2mgが目安(成人の場合)とされています。体重60kgであれば120mgが必要となり、これは普通の食生活をしている場合は問題なく摂れる量です。しかしながら、トリプトファン単体では、セロトニンを作ることができず、ビタミンB6も摂取する必要があります。つまり、トリプトファンだけのサプリメントではあまり効果が期待できません。一番いいのは、食事とサプリでバランスよく摂取できることです。
セロトニンの原料となるトリプトファン・ビタミンB6を配合したサプリもおすすめです。
まとめ
トリプトファン摂取を意識すれば、睡眠の質も自然とよくなりますね。100%サプリにたよらない生活、あくまでも食事とのバランスを心がけてみてはいかがでしょうか?
長行司 季子(睡眠改善インストラクター)
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