「睡眠不足」がもたらす、まさかの社会影響!実は【選挙投票率の低下】に関係していた!?

選挙投票イメージ

4年に1度行われる統一地方選挙。
2019年の今まさに、日本各地が選挙戦真っ只中にあります。

令和という新しい元号の切り替わりに備え
平成を締めくくる最後の1か月に展開される今回の地方戦、
まさに平成最後の大戦と言えるかもしれません。

人口減少・高齢化に悩む地方議会の今後が注目されますが
とはいえ、頭を悩ませるのが投票率の低下。

総務省資料_衆院選投票率推移

総務省資料 衆院選投票率推移

総務省資料でも発表されているとおり
国政選挙の投票率は低下を続けています。

そして、国政のみならず、地方選挙においても

総務省資料_統一地方選投票率推移

総務省資料 統一地方選投票率推移(平成29年1月発表資料)

庶民の一人ひとりの生活と密着しているはずの
地方選挙でさえも、このように低下する一方です。

投票率低下の研究は日本にも数あれど
アメリカでは「睡眠不足が投票率の低下を招く」という研究がされていました。

睡眠不足が投票やボランティアなどの社会活動を妨げる

国際的な総合科学ジャーナル『Nature』のウェブサイトに
2019年3月4日付で掲載された記事によると
睡眠不足の人は、未来を見据えた行動である選挙の投票、
嘆願書への署名やボランティア活動をする慈善団体への寄付など
社会的な活動への意欲が下がるという研究結果が出たそうです。

この研究論文は
ブリガムヤング大学のJohn B.Holbein政治科学助教授
ミュンヘン大学のJerome P.Schafer政治科学助教授、
アパラチア州立大学で行動睡眠研究をしているDavid L.Dickinson教授
の3人によって著されました。

睡眠不足は、その人の生活や健康面に悪影響を及ぼすだけでなく
社会的レベルでも社会的つながりへの意欲を失い
社会資本、結束力、または関与のレベルが下がり
市民行動や経済活動に置いて悪影響を与えるであろうとまとめられています。

記事は、調査データの分析や実験結果など3つの手法からその論を展開しています。

2か国の調査データから睡眠不足と選挙投票率低下を予測

まず最初にアメリカは青年期全国縦断研究のデータを
ドイツは社会経済パネルから有権者の統計データを使用し
それぞれその国での投票にまつわる統計や質問回答を分析したところ
睡眠不足と投票率の低さに一貫性がある、という関係性を導き出しました。

タイムゾーン境界から睡眠不足と選挙投票率低下を予測

2つ目の検証は、アメリカっぽい話題。
タイムゾーンの境界とそれ以外の地域での投票率について。

アメリカのタイムゾーン

タイムゾーンの境目はいわゆる日付変更線。

アメリカ大陸は東西に広く渡っているので
4つのタイムゾーン(東海岸標準時、中西部標準時、山岳部標準時、太平洋標準時)に
分かれており、アメリカ国内で時差があります。

このタイムゾーン境界の東側にある地域は
必然的に日が沈む時間が遅いため、就寝時間も遅くなりがちです。

そのため、睡眠不足の人も多いようです。

投票率データを合わせてみると予測どおり
睡眠不足の人の割合が高い
タイムゾーン境界の東側地域の投票率は低いという結果が示されました。

睡眠時間を削って作る「自由な時間」は「自分のため」に使われる

更に続くのがプラセボ治療実験の検証。

「寝る時間が惜しい」という人は万国どこにでもいるようで
もちろんアメリカにも存在します。

実験の中、時間の使い方を調査したところによると
人が睡眠時間を削ってまで作る時間は
次のようなことに使われるそうです。

仕事、飲食、家の掃除や修理、テレビ
リラックス、タバコ、趣味、インターネット、そのほか自由な時間…

これらは「自分のため」の行動です。

余白の時間を、社会に貢献するための行動に使うという人は
ほとんどいませんでした。

不健康な食事イメージ

不健康な食事などの非社会的行動は
睡眠不足に反応して増加するとの文献もあり
睡眠不足は社会の外に目を向けず、個人の行動のレベルも低くなってしまいます。

睡眠不足では、社会活動をするのにあまりにも疲れている

睡眠不足イメージ

検証結果を通し、研究の締めに導いた見解は
「睡眠不足が原因で、社会活動参加の減少が引き起こされる」だけにとどまりません。

社会で一般的になった睡眠不足のレベルが
これまで認識されているよりもなお幅広い影響があるのを示唆しているとした上で
コミュニティや社会の幸福にとって欠かせない行動をとるのに
睡眠不足は有害な影響を与え、私達の社会の不平等を悪化させることにつながると断言。

睡眠不足は健康衛生上の問題のみならず
下流の社会経済的影響も持っているのではないかとの見解を示します。

請願書の署名や、慈善活動としての寄付、選挙への投票など
社会に係る活動をするには、睡眠不足の人たちはあまりにも疲れている、ということ。

市民参加や社会資本の水準が低下している…

簡単に言えば、多くの人々は自分たちの時間、お金、そしてエネルギーを
選挙への投票やボランティア活動のような社会的問題解決に使えないとしています。

睡眠不足と選挙投票率低下の研究結果は政策提言へ

さすが政治科学の教授陣が執筆する論文。
最終的には政策提言をしています。

「政策の観点から、この研究結果は個人の睡眠レベルに影響を与える以上に
より広い範囲への影響をもたらす可能性があることを示唆しています。

たとえば職場や、子どもたちへの両親の介入のように
睡眠を促進するための政策という行動的介入が
生産性と健康を向上させるだけでなく
社会的資本や社会的つながりのレベルを高めていくかもしれない。

睡眠不足が健康、生産性、教育面での成功を脅かすのみならず
社会の基盤を形成するゆるやかなつながりをも崩壊させることを
政策担当者たちは、理解すべきです。

政策として睡眠不足対策を打つ必要性があると述べています。

投票率低下対策も、良い社会づくりも、睡眠不足解消から

睡眠大事イメージ

睡眠不足だと選挙の投票はじめ
嘆願書への署名、そして慈善団体への寄付の意欲等
市民の関与レベルが下がるというのが最新の研究結果。

投票率を上げたいと願うならば
良い社会をつくりたいと願うならば
「睡眠不足を解消するための政策」を
日本でも打ち出してみてよいかもしれません。

The following two tabs change content below.
竹田 浩一(睡眠改善インストラクター)

竹田 浩一(睡眠改善インストラクター)

幼少期から睡眠障害で悩み、様々な策を講じ28歳で克服。現在は朝5時起床夜10時就寝という生活を送る。TBS「マツコの知らない世界」に目覚まし時計と睡眠の専門家として出演。また学校や企業で睡眠講座を行うなど睡眠改善の啓蒙活動を続ける。

睡眠改善インストラクター竹田著書

PAGE TOP