スッキリ起きられない、ぐっすり眠れないという原因の一つに、自律神経失調症という病気があげられます。
自律神経のバランスが狂い、交感神経の緊張が異常に興奮しているために不眠になってしまっている状態です。交感神経が緊張したままでは、不眠症は改善しません。
自律神経失調による不眠の改善のポイントは2つ。
「交感神経の興奮を抑える」ことと、「副交感神経を優位にする」ことです。
メリハリを効かせた一日を過ごす
自律神経には「闘争と逃走の神経(英語ではFight and Flight)」と呼ばれる、激しい活動を行っている時に活性化する。交感神経」と、「身体と心を回復させる、リラックスをしている時に活性化する副交感神経」に分かれます。
交感神経と副交感神経はお互いにバランスしあっています。どちらかが活性化して優位の時は、もう一方は活動が低下します。シーソーのような関係です。
いわば「動」と「静」の関係で、このメリハリが一日の生活の中でバランスよく取れているかで、自律神経の正常な働きと、安眠・快起が出来るかどうかに関わってきます。
朝起きてから日中の時間帯は「動」の時間帯なので「交感神経を優位にする」
夕方から夜の時間帯は「静」の時間帯なので「副交感神経を優位にする」
このメリハリをつけた生活を心がけてみましょう!
交感神経の興奮を抑える4つのポイント
1.朝は音ではなく光で起きる
アラーム音にビックリして起きたことはありませんか?
起きた時に心臓がドキドキバクバクしてなんだか怖い夢を見たような気がする。
音で起きると、危険を察知するホルモン「ノルアドレナリン」を刺激して人は起こされます。これはストレスと共に起きることになります。
ノルアドレナリンは交感神経を優位にする働きをもちますが、朝起きた瞬間から交感神経をピークにするのは心身ともにあまり良くないです。
光は人本来が持つ「起きる」という力を引き出してくれます。カーテンをあけっぱなしにして、太陽の光で起きる事ができれば、副交感神経から徐々に交感神経にシフトしていき、ストレス無くメリハリをつけることが出来ます。
光で起きることで、スッキリ目覚めることも出来ますし、二度寝や日中の眠気を防止するなどの嬉しい効果もあります。
2.15時以降はカフェインを取らない
眠気を覚ますためにコーヒーを飲むという人は多いと思います。
ところが、このコーヒーに含まれる「カフェイン」は体内に長く居座ります。
人によってその時間は様々ですが、長い人で8時間ほどカフェインが効いている状態になるとも言われています。
不眠症や自律神経失調症と判断された方は、できれば6ヶ月から1年間はカフェインを取らないようにしてみてください。かなり改善を感じられると思います。
寝る前8時間からのカフェインはNG?!睡眠に与えるカフェインの悪影響とデカフェという対策3.寝る前の3時間はパソコンやスマホゲーム、激しい運動などをしない
パソコンやスマホから出るブルーライトは交感神経を優位にします。
リラックスモードに入る夜の時間に、パソコンやスマホゲームなどをすることで、ブルーライトの影響だけでなく、さらにその興奮がオンされて、どんどん交感神経が優位になっていきます。
※夜のコンビニも非常に強い光なので同様に注意が必要です。
夜にランニングをする方も多いと思いますが、自律神経や安眠のためにはあまりよい行動ではありません。
運動はまさに「動」の交感神経が活発な状態。ストレッチやヨガなどの運動は副交感神経を優位にしてくれますが、汗をかく激しい運動はできれば10時~19時までの間に行うことが好ましいです。
4.感謝する
感謝する気持ちは、交換神経の興奮を抑えてくれます。
一日の終わりに、今日一日を過ごせたことに感謝し、眠りにつけることに感謝する。それだけで、不眠症の改善にもつながります。
「ありがとう」という気持ちは、交感神経を抑え、副交感神経を優位にして、心穏やかに安眠に導いてくれます。そうすることで、睡眠の質も高くなり、翌朝のすっきり感と幸福感がより高くなると思います。
副交感神経を優位にする3つのポイント
1.帰宅後18時以降は間接照明でリラックス
強い光は交感神経を刺激します。日中の明るい光とは逆に、夜のリラックスタイムはできるだけ柔らかい弱い光の中で過ごすことが自律神経をバランス良くし、すっと入眠し質の高い睡眠を得るための重要な方法です。
天井からのライトを弱くしたり、色温度の低いライトを使うことも効果的ですが、一番のおすすめは「間接照明」で光を上から浴びないことです。
ろうそくの光と同じ色温度帯の2000~2600k(ケルビン)の照明を間接照明にすることで、驚くほどリラックスできる部屋に変わります。
気づいたら眠っていたということが無いように、眠くなったらきちんと布団に入りましょうね。
2.就寝時刻の2〜3時間前に夕食とお風呂を済ませる
夕食はできるだけ時間をかけて、よく噛んで摂るようにしましょう。
口の動きは副交感神経により支配されているため、よく噛むことで副交感神経は優位になっていきます。
また、寝る直前に食事をしてしまうと、胃や腸の働きが消化活動のため就寝後も胃が働き続けるため、興奮状態となってなかなか寝付けません。2~3時間前に夕食を摂ることで、就寝時刻には眠る準備が整うことになります。
副交感神経を優位にするためには、ぬるめのお湯(38℃)で長く(15分~30分)入浴します。
ぬるめのお湯に浸かることで、副交感神経の働きが活発になると同時に、 体内温度がゆっくりと上がり、リラックス状態になっていきます。
質の高い入眠のためには、寝る時間に深部体温を下げる必要があります。お風呂に浸かって温まった深部体温が、2~3時間後に一気に下がります。この温度の差が、質の高い入眠を促してくれて、その後の安眠へとつながっていきます。
ですので、食事と同様、寝る直前のお風呂はできるだけ避けましょう。寝る直前になってしまう場合は、シャワーで済ませるようにすると良いです。
3.つめもみ(爪揉み)マッサージで自律神経を整え安眠
手は第二の脳とも呼ばれ、ツメの生えぎわには神経繊維が密集しています。手の血流を良くすることで、手のひらから熱を放出し、深い眠りへと導いてくれます。
中でも指先には毛細血管が一番多く集まっているため、指先をマッサージして血液の循環を良くすることで、自律神経のバランスを整え、免疫力の向上を促します。
つめもみを繰り返すことで、腰痛・肩こり・耳鳴り・不眠等の不定愁訴などのいろいろな症状の軽減や解消に役立つと言われています。
赤い点の部分を、もう片方の指で約10秒間ほどもみもみします。
薬指は交感神経を刺激するという説もありますので、避けたほうがいいかもしれません。
指の平の方からのマッサージ方法。
指を机に押し付けるようにして、爪の付け根の裏側部分をもう片方の指で3秒ほど押します。
続けて指の先に少しずらして、またグーッと押します。
最後に指先を同じように押しましょう。
付け根から先に向かってマッサージするのがポイントです。
あまり強すぎもよくありませんが、押されているという圧迫感を感じるぐらいの強さは必要です。
まとめ
自律神経の働きについてはお分かりいただけましたでしょうか。
朝は光でスッキリ起きて、日中は元気に交感神経を活発に活動し、夜は副交感神経を優位にしてリラックスする環境を作って安眠、健康を目指していきましょう!
小さな頃から「太陽の光で起きたい!」とカーテンを開けたまま眠ってしまう今井です。
竹田 浩一(睡眠改善インストラクター)
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